建築家・設計事務所と家創り/兵庫県神戸西宮明石・田崎設計室

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     神戸市中央区元町通5-4-3


  
神戸中央教会
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聖イエス会神戸中央教会   神戸市の教会

キーワード        シンプル/ローコスト/清らかさ

厳しい予算(鉄筋コンクリート造3階建てで坪単価63万)ではあったが、それだからこそ、教会の信徒さん達の持つ、清新な中にも強い意志のようなものを表現しました。 外観上の特徴として、シンプルでありながら力強さと躍動感を表現したいと思いました。その形のありようはもちろん、対照的な白と黒のモノクロームな壁面の中に規律的に配された開口部と、自由かつランダムに配された開口部を混在させることにより、活き活きとした表情を持たせることに意を注ぎました。 その結果「現在のモダン」さらには本来の神戸らしい 「先進性」に富む景観が創出されたと思います。 昼はその静謐さと力強さで、そして夜は灯台の明かり( 2ヶ所の十字架の照明はいずれも省エネに配慮したLED照明器具)のように地域や街並みのシンボルとなることを願っています。

設計コンセプト    「 清らかな力 」
設計概要
兵庫県神戸市  鉄筋コンクリート造3階   第1種中高層  敷地面積 226㎡  建築面積 135㎡   延面積309㎡
建蔽率  59%   容積率 137%  撮影 江原貴志

 南外観

 
西南外観                                                   南東外観

 
南東夜景                                                                         アプローチ夜景


玄関ホール

 ホールから廊下階段へ

 
2階ホワイエ                                                                祭壇 トップライトからの自然光が優しくふりそそぎます。

   礼拝堂正面

 礼拝堂側面

 3階母子室


いきさつ
自分達にふさわしい設計事務所を探そうと、兵庫県内の多くの事務所の中からまず10社に絞り込まれました。その後各事務所にアプローチされ面談、実績建築見学会、そして最後は設計コンペと3段階を経て、私が選ばれました。

プランの推移
実は設計コンペの案と実施案は大分違う案になりました。但しコンセプトは変わっていません。選任された後、建設委員会の皆さんと打ち合わせして分ったのはコンペ時の要求事項では本来の要求が未だ満たされていないことが分ったからです。更に2案を作成し現在のプランに落ち着きました。

予算とコスト
要求事項は更に増えたのに予算はあまり変わらないという非常に厳しい状況でした。正に「 いばらの道 」を実感しました。周囲からはこの予算ではRC3階の教会は無理でしょうと言われました。それだけに私の心はより奮起しました。効率よく作業を進める為に、入札5社に対して大項目だけではなく、詳細な項目をつけた概算見積りを要求しました。その為に実施設計前に構造の仮定断面を作成し、参加施工会社に提示しています。慎重なコスト把握を繰り返した上で、更にプランもコストコントロールのために作りなおしています。私なりの成算を胸に実施設計を開始しました。

大変ではありましたが、充実した日々でした。そして清算見積りを同じ5社に発注。入札の時に奇跡が起りました。5社のうち3社が私の予想どおり、概算時より大幅に下がった見積りを提示しました。しかも一番手は私の目論見を少し超えて下がっていました。RCの3階建ての教会が何と坪単価63万(施工床ベース、消費税込み)です。私のコストコントロール能力が証明されました。しかし今となってはそれだけではない気がします。運というか、教会(信徒さん達)のパワーのせいもあるのではないかと考えています。

工事の経過
工事は1月から始まりましたが、実に順調に進みました。3月にあの忌まわしい大地震が起きましたが、この現場では何ひとつ、資材が調達出来ない等の事態は起きませんでした。重要な資材は全て発注済みだったのです。ついていました。ここでも教会のパワーがあったような気がします。そして8月には無事引渡しが完了しました。

音響について
工事途中で音響効果についての要望変更がありました。この教会では音楽活動が盛んなことは知っていたので、残響時間の設定としては講堂と音楽ホールの中間辺りをねらっての設計にしていました。しかし信徒さん達の中にはプロの音楽家(声楽家やオルガン、バイオリン等の楽器演奏家)がおられ、多少声が聞き取りにくい状況があっても構わないので、音楽ホール寄りの音響効果にして欲しいとの強い要望が起りました。

その為、残響時間の計算をやり直し、中音域以上で1.2秒となるように調整しました。完成後機械による簡易測定を行い、概ね近いことを確認しました。しかし何より実際に聖歌隊や楽器の演奏で私自身、音響効果の良さをこの耳と体で確認しました。竣工後第1回目の礼拝日及びその後の正式な献堂式に於ける演奏と合唱には本当に感動しました。心と体が打ち震えました。

完成して
細かいところではいくつか反省点もありますが、総じて満足していただいたようです。あの狭い敷地にどうしてこんな立派で大きな教会が出来たのか不思議だ。まるでマジックのようだと信徒さん達から喜んで頂きました。建築家冥利に尽きます。

皆さんの感想をまとめると以下のようになります。
(1)礼拝堂が以前より随分広くなった。
(2)礼拝堂の音響効果が素晴らしい。
(3)全体として必要緒室がまんべんなく確保されている。
(4)デザインが清潔感があって美しい(但し普通の教会とは全く違う形)。
(5)教会と住居(牧師舘)が完全に分離されプライバシーが確保されている。

しかし今になり冷静に振り返ると、予算が厳しかったことが、かえって良かったのではないかと思っています。極端に厳しいからこそ素朴で清心な教会建築が出来たのではないかと…。
そして私自身もこの仕事によって世間に活かされたのではないかと・・・・。